経営者自身が作業の中心では、事業は発展しない。
たとえばベーカリーの経営者に「あなたの仕事はなんですか?」とたずねたとする。
この問いに対して「美味しいパンを作ること」と答える人は、パン職人としては素晴らしいかもしれないが、経営者としては自覚が十分とはいえない。
この場合、ベーカリーの経営者の仕事はパンを作ったり売ったりすることではない。
もちろん、現実にはパンを作ったり売ったりもするだろうが、それは主たる仕事ではない。
経営者には「作業」よりも、「パンを通じた事業」について考えることが求められているのである。
経営者に成長へのビジョンと進歩への意志があれば、今はどんなに規模の小さい商売であっても、発展の可能性は高まるだろう。
そのような目標を持って仕事に取り組めば、小さな商店から始めた仕事も、驚くほど成長性の高い事業に生まれ変わる可能性があるにちがいない。
毎日は、「仕事をするため」にあるのではなく、その「仕事の発展に取り組むため」にあるのだ。このことを忘れるべきではない。
だが、多くの中小企業オーナーは、ここで間違いを犯してしまう。
その結果が、自分自身がシステムに組み込まれてしまう経営である。
オーナー自身の現場労働が不可欠な体制、常に自分がそこにいなければ回らない運営体制となってしまうのである。
それでも日々の業務は回るだろう。毎日仕事して、作業して、暮らすことはできるだろう。ときには家族の力を借りたり、アルバイトを雇うこともあるだろう。
しかし、自分自身が作業の中心者であることを前提とした運営方法を続けている限りは、事業も自分自身も、ほとんど進歩しないのである。
(2009年3月1日)
ヒロックス・インターナショナル
代表 松沢 裕之